2022年6月27日に福岡地方裁判所口頭弁論期日に被告本人が読み上げた意見陳述書の内容を紹介します。
1 はじめに
私は、新たに4月20日に原告訴訟代理人の瀬戸伸一弁護士より提出された準備書面3[※1]について、感じた意見を述べさせていただきます。その前に、この裁判の対象となる「アイズ小笹」と呼ばれていた建物は、「フェリス小笹」の名称で入居募集を行っていることから、以下、フェリス小笹と呼ばせていただきます。
※田中構造設計側が「被告のホームページは公共性がない」と主張した書面。
2 中高層建物建設とそれに対する意見の公共性について
フェリス小笹の建設は、福岡市が「福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例」の対象として定めている中高層建築物、ワンルーム形式の集合建築物、特定集合住宅の3種、すべての対象建物に該当するものであります。これらの建設によって地域の環境変化や影響が大きいことから、福岡市はこの条例を定めているのだと考えます。そして、福岡市は建設する業者へ、この条例を正しく守るよう求めています。この条例を守らない建設業があれば、これまでに例があるような紛争やトラブル、環境への影響や人権の侵害に当たる紛争が起こってしまうということを鑑みて、このような紛争を避ける目的で制定されたものです。
フェリス小笹が福岡市中央区小笹、平和地域の環境に大きく影響することは、この地域の住民でなくとも、誰もが容易に理解できることです。特に、日照やプライバシー、擁壁の危険性に関する心配はクレスト小笹だけでなく、近隣戸建ての多くの住民たちの、これまでの平穏な暮らしに不安を及ぼすものであります。フェリス小笹への30世帯もの新しい住民の入居は、今後の小笹・平和地域の人流、交通、人々の関係、環境にも大きな変化をもたらすことが想像されます。
また、フェリス小笹が面する道路は、小笹小学校と平尾中学校の正規の通学路にあたり、フェリス小笹の駐車場の出入り口もこの道路に面しています。地域では、児童たちの安全を考慮して、この道路を午前7時から9時の時間帯は通行不可としていることからも、住民の心配を理解していただけると思います。フェリス小笹の住民が使用する車両は、この通行禁止の時間帯にも通行することが予想されることから、この地域の子供たちやその家族は、これまで以上の心配が増しています。この交通問題を含む近隣の環境変化からも、フェリス小笹の存在は大いに公共性が高いと思います。
3 市議会への請願
田中構造設計のフェリス小笹建設問題は、2422名の署名とともに福岡市議会に請願が提出され2021年5月17日の福祉都市委員会で足掛け4時間以上に渡って取り上げられた件であり、福岡市も福岡市議会もこれだけの時間をかけて議論した、大いに公共性のある事案であります。その後も福岡市議会本会議で複数回取り上げられ、請願は現在も継続審議となっています。
4 ホームページの内容は多くの地域住民の関心事であること
また、私たち住民が田中構造設計に対して、この建物の建設内容やその工事の過程などの説明を求めたり、意見をすることは、近隣住民としては当然の権利でもあると思います。それをホームページに記載したり文書にして公にすることは公共性もさることながら、憲法によって守られるべき表現の自由そのものだと思います。
田中構造設計は福岡市の条例に記されているような、住民への説明を十分に行わないだけでなく、住民と約束した質問への回答も反故にしています。「福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例」を守ってこのフェリス小笹の施工や工事を行った、とは到底評価できません。
田中構造設計は、私たちのことを「クレスト小笹住民という極めて小さい集団」と決めつけ、私たちの主張に公共性がないと主張しています。対象の住民の人数が多かろうが少なかろうが、地域の住民や環境への影響を与える可能性が高い建物であることに変わりはありません。このような個々の市民を力で潰そうとする発想でフェリス小笹の建設を行い、自分たちの利益だけを目的としている田中構造設計は批判されるべきであると考えます。私はこの考えのもと、多くの住民の不安や訴えを代弁しているだけなのです。ホームページに記載している事実はいずれも、地域住民という「多数の人の社会的利害に関係する事実」であると言うべきではありませんか?
5 言論弾圧には屈しない
田中構造設計の圧力は、この、私たちのホームページに対するものだけではありません。私たちが求めている「擁壁の安全性についての説明」を行わないどころか、田中構造設計が説明も調査もしないため、擁壁が膨らみや変形をきたしたことを心配した住民が、やむなく擁壁の測量を行ったところ、なんら損傷を与えていないにもかかわらず、田中忍社長は、「擁壁を破損させた」として損害賠償の裁判まで起こしているのです。
また、田中構造設計の社員は無実の住民を傷害事件の加害者とする被害届を警察へ提出することによって、クレスト小笹の住民の個人を標的にして私たちの尊厳をも傷つけ、我々を黙らせようとしています。
こんな圧力に負けてなるものか!との強い思いはありますが、現にホームページの更新頻度は下がってしまっており、まさに今現在においても田中構造設計による圧力を受け続けています。
しかし、私たちは、この田中構造設計による圧力に負けず、団結して、このホームページを通して私たちの訴えを発信し続けていきます。
6 公開法廷継続のお願い