2022年9月26日に福岡地方裁判所にて原告住民が読み上た文章の内容を紹介します。
原告 クレスト小笹住民等40名
被告 株式会社田中構造設計
1、はじめに
私はこの裁判の原告である「クレスト小笹管理組合」の一員であるとともに、この田中構造設計が竣工させた「フェリス小笹」がある小笹平和地区に生まれ、この地区で生涯を終える予定の住民でもあります。この地で生きてきて、この小笹平和地区を70年近く見てきて、将来を心配する住民として意見を述べさせていただきたいと思います。
2、小笹平和地区の住環境について
私が生まれた頃、小笹平和地区は動物園がある南公園と鴻巣山に囲まれた、自然あふれ、住民たち皆がのどかに過ごす街でした。やがて、小笹小学校や平尾中学校が設置され、住環境や教育環境に恵まれた、家族や子供たちが安心して過ごせる街、静かな住宅地として発展してきました。福岡市が目指す「緑あふれるまち」そのものの地域です。
この地区には昭和30年代まで/アメリカ軍の演習場がありました。その演習場が返還されてから、その跡地に小学校、中学校、警察学校が建設され、平和町の名前の通り、家族や子供たちが平和で安全に暮らせる街づくりがなされてきました。また、アメリカ兵たちが子供たちのために作ってくれた公園が、今も平和中央公園(通称ロケット公園)として、安全な遊び場として残っています。
そんなロケット公園の目の前に、小笹1丁目5番の100坪あまりの土地があり、一戸建て住宅が建っていました。2020年12月、私たちは、田中構造設計がその土地の一戸建て住宅を解体し、11階建てのマンションを建設することを知りました。その土地の前の持ち主と私たちクレスト小笹の住民はお付き合いがありましたが、その方は「私たちもこの地域の人々と永く仲良く暮らしてきたので、近所の方々へ迷惑がかからないような利用を考える方へ譲りたい。」と不動産業者へ売却を託したと言っていました。
3、田中構造設計の住民を無視した強引な開発と提案
住民が安心を信じて暮らしてきた平和な街へ、いきなり田中構造設計は強引なやり方で「フェリス小笹」の建設を推し進めてきました。田中構造設計は、福岡市の条例も、住民の住環境も、福岡市の住宅都市局の指導も無視して聞き流す、建築基準法をクリアしてしまえば何をしても構わない、という考え方で「フェリス小笹」の建設を進めたように思えます。この田中構造設計の考え方と行為こそが、私たちの安心を脅かしているのです。
住民たちは、日照被害やプライバシーの侵害、境界擁壁の安全性について、田中構造設計に対して説明を求めていますが、田中構造設計はこれに答えようとはせず、住民への説明会を打ち切ってしまいました。
それだけでなく、仮処分の申立て以降、私たちクレスト小笹の住民を黙らせようと、いろいろなことを仕掛けてきています。私の管理するホームページについて名誉毀損で1,430万円の損害賠償を請求してきているほか、無実の住民を傷害事件の加害者とする被害届を警察へ提出することによって、クレスト小笹の住民の個人を標的にして私たちの尊厳をも傷つけ、われわれの要求を潰しにかかっています。その被害者を名乗る田中構造設計の社員は、弁護士を通じて加害者とする住民に謝罪を求めていますが、それに対応する私たちを無視するように田中構造設計を退社し行方不明になっています。
更には、私たちが求めている「擁壁の安全性についての説明」を行わないどころか、田中構造設計が説明も調査もしないため、擁壁が膨らみや変形をきたしたことを心配した住民が、やむなく擁壁の測量を行ったところ、なんら損傷を与えていないにも関わらず、田中構造設計の田中忍社長は、「擁壁を破損させた」として損害賠償の裁判まで起こしています。この事件の解決のために、原告、被告双方の当事者尋問の場を裁判所が設定したにも関わらず、原告の田中忍社長は出廷を拒否しています。
このように田中構造設計は、元々平和に暮らしていた住民たちの日照やプライバシー、生命身体の安全など住民の環境を考えるどころか、住民を陥れて自分たちの事業を推し進めてきました。クレスト小笹とフェリス小笹の境界付近に設置されている擁壁ついては、フェリス小笹着工当時から現在に至るまで、クレスト小笹の住民だけでなく、近隣の方々も危険と感じています。
これまで、田中構造設計の対応には多々問題があると感じていますが、お互いに、ここはひとつ立ち止まって、私たちとの話し合いの場を持ってみてはどうでしょうか?話し合いの場を持つことで、住民たちとの信頼関係を再構築し、この地域の安心も深まる方向へ進み、お互いに正常な住民関係や街づくりができると、私は信じています。フェリス小笹が竣工したと、耳にする今日この頃、また、完成後は売却する予定ということも鑑みて、ここが最後の住民との関係修復の機会ではないでしょうか?
4、小笹平和地区のこれからの環境を考える
私が生まれた昭和20年代から、小笹平和地区は穏やかで平和を望む人々が助け合う関係を保ってきました。住民がお互いを尊重し、街づくりも一緒に考える「互譲の精神」が成り立っていました。アメリカ軍の兵士たちも私たち子供たちににこやかな笑顔で接してくれていました。
これまでも開発が進む中、平和で安心な、皆が気持ちよく暮らせる環境をめざして、住民たちも開発業者も、街づくりを考えてきた歴史があります。このままの環境を100パーセント保つことを望んでいる訳ではありませんが、この田中構造設計が進めてきたような自分勝手で強引な開発を許してしまうと、第2、第3の私たちのような被害住民を作ってしまうと懸念しています。
私たち人類が地球の生態系を壊し、この星の温暖化に至る気象や環境の破壊を積み重ねてきたことを反省して立ち上げられた、SDGsの精神に則り、私たちは福岡市、そして小笹平和地区の環境を守っていきたいと考えています。田中構造設計にも、地球の環境や人々の生活を考慮して開発を進めるべき建設業を生業としているからには、地域の公共性を優先し、この土地で、すでに平和に暮らしている住民を無視するような開発をやめて欲しいものです。
裁判官の皆さんにも、この裁判が小笹平和地区の将来を決定的に左右するかもしれない、そのような思いで私たちの訴えに耳を傾けていただきたいと願います。
●第4回ホームページ裁判公開法廷 2022年10月31日(月)13:30~
※場所:福岡地方裁判所9階901号法廷
HP裁判陳述① HP裁判陳述② HP裁判陳述③ HP裁判陳述④ HP裁判陳述⑤
●第6回フェリス小笹建物撤去裁判 2022年11月14日(月)13:30〜
※場所 福岡地方裁判所9階901号法廷